今や大きく進歩したノズルの技術と製品は、人々の快適な生活環境作りから広くは地球環境を保護するために、なくてはならない大切な要素のひとつになりました。特に、公害となる大気汚染や水質汚染を防止するため、多くの産業でノズルを活用したいろいろな対策装置の研究が続けられています。
電気自動車の研究開発にノズルが利用されています
21世紀の地球環境の保護を目指して、現在のガソリン車から、まったく排気ガスが発生しない電気自動車へと、世界の自動車メーカーで研究開発が進められています。この電気自動車の性能を左右する重要な装置の一つである燃料電池の効率を高める研究に、いろいろな種類のノズルが使われています。もしかすると数年後には、年間数百万個、数千万個という新たなノズル需要が生まれるかもしれません。
ディーゼル車の黒い排気をノズルがきれいに
ディーゼル車の黒い排気は、光化学スモッグの原因や有害な汚染物質の拡散などの問題になっています。すでに一部の国では対策が実施されていますが、新たな法律規制により、多くの研究機関で、この有害な黒煙をノズルの噴霧でクリーンにする研究が進められています。近い将来、全てのディーゼル車の黒煙がノズルによってきれいな排気へと改善され、人々の健康を守ることに役立つことでしょう。
半導体・液晶パネルの製造ラインにはたくさんのノズル
人々の生活の中で、半導体を利用したたくさんの電子機器が使われています。その半導体を生産するラインでもノズルは必要な部品です。例えば現像液のスプレー、リードフレームやプリント基板のエッチングやアルカリ洗浄、シャドーマスクのエッチングなど、化学的な精密洗浄を必要とする目的でノズルがたくさん使われています。
自動車の美しさを決める霧吹ノズル
例えば、自動車工場の乗用車の生産ラインでは、塗装前処理として車体表面の油膜や汚れをノズルで洗浄した後に、エアーノズルで水切り乾燥します。そしてさらに超精密なノズルで塗料を極微粒子の霧にして、自動車のボディーに吹き付けて、均一できれいな塗装仕上げを行います。みなさんが日常なにげなく乗っている自動車は、ノズルがきれいにお化粧しているのです。
治療薬のマイクロカプセル製造ラインの超・超・超精密ノズル
針の先よりもっと小さいボール状の生薬を、超精密なノズルから流れるコーティング液で包んで、マイクロカプセルを製造します。さらにノズルから出すコーティング液の量を調節して、治療の目的や薬の作用に応じて、口の中で溶けたり、腸に届くまで溶けないようにするなど、いろいろなマイクロカプセルを製造するのにノズルを利用しています。
家庭ゴミの燃却炉から発生する煙をノズルがきれいにします
みなさんの家庭から収集されたゴミは、都市の大型ごみ焼却炉で燃やして処理されます。しかし、ごみには塩化ビニルやプラスチック類も混ざっており、燃焼した排ガス中には人体に有害な物質も含まれている場合があります。そこで燃焼した排気の中にノズルから水や処理液を噴霧して、有害物質を除去することにより人体への影響を防ぐことが出来るのです。
ノズルの霧が静電気事故を防ぎます
私たちの日常生活の中でも時々体感する静電気は、産業分野で大きな事故やトラブルの原因になることがあります。例えば、引火性の液を使用する工場で静電気が発生すれば、何かのきっかけで静電気がスパークして火災や爆発につながるかも知れません。また印刷工場で静電気が発生すれば、印刷機の中に送る印刷用紙が一度に何枚も流れて、印刷ができなくなります。静電気は空気が乾燥しているときほど発生しやすく、逆に湿度が高い季節ではほとんど発生しにくいのです。従って静電気の発生を抑えるためには、ノズルで水を噴霧すれば、静電気が抑えられ、安全対策や生産トラブルを防ぐことができるのです。